女性に多い境界性人格障害型外向ひきこもり

診断基準


対人関係、自己像、感情の不安定および著しい衝動性の広範な様式で、 成人早期に始まり、種々の状況で明らかになる。   以下のうち、五つ(またはそれ以上)で示される。

@:現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとする気違じみた努力。注:基準5で取り上げられる自殺行為または自傷行為は含めないこと。

A:理想化とこき下ろしとの両極端を揺れ動くことによって特徴づけられる、不安定で激しい対人関係様式。

B:同一性障害:著明で持続的な不安定な自己像または自己感。

C:自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも二つの領域にわたるもの(例:浪費、性行為、物質乱用、無謀な運転、むちゃ食い)。注:基準5で取り上げられる自殺行為または自傷行為は含めないこと。

D:自殺の行動、そぶり、脅し、または自傷行為の繰返し。

E:顕著な気分反応性による感情不安定性(例:通常は二三時間持続し、二三日以上持続することはまれな、エピソード的に起こる強い不快気分、いらいら、または不安)。

F:慢性的な空虚感

G:不適切で激しい怒り、または怒りの制御困難(例:しばしばかんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いのケンカを繰り返す)。

H:一過性のストレス関連性の妄想様観念または重篤な解離性症状


見捨てられ不安

境界例の方の多くが、愛する人や大事な人に見捨てられるという不安を絶えず抱えています。人間は誰でも多かれ、少なかれ、愛する人や大事な人に見捨てられるという不安を抱いていますが、境界例の方の場合は、見捨てられ不安の感情が、非常に強く、周囲の人には、理解できないほどです。いったん相手を信頼できると思いこむと、今度は、見捨てられないように、 しがみつこうとします。 相手が、困り果て、境界例の方を避けようとすると、 今度は、一転して、 激しい怒りをぶつけたり、引き止めるために、自殺しようとさえします。 このように、境界例の方の周囲にいる人たちは、不安定で、 衝動的な人間関係の うずの中に引き込まれていくのです。



治療の開始は「契約」です


境界型人格障害の治療は、はっきり言って困難です。本人の求める薬物治療にはあまり効果は期待できません。対人関係の形成過程の問題が原因と考えられますので、精神療法の適応と言えます。ところが、病気そのものの症状である対人関係の不安定さは医者との関係にも現れてしまいます。主治医に対する信頼と不信が目まぐるしく入れ替わり、しかも何回も自殺のそぶりをするような状態では、精神療法どころではありません。したがって治療のためにはまず治療をするということ自体を本人と医者ではっきり取り決めるという手続きが必要になります。これには一定の面接時間の設定などを含み、「治療契約」といいます。契約を破れば治療は中止です。冷たいようですが、難治であることを認識し、つらくても最善の治療法に従うべきでしょう。



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